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小林 憲正*; 川本 幸徳*; 岡部 拓人*; Sarker, P. K.*; 大林 由美子*; 金子 竹男*; 三田 肇*; 神田 一浩*; 吉田 聡*; 鳴海 一成
no journal, ,
分子雲環境を模した重粒子線照射実験により、模擬星間物質から高分子態アミノ酸前駆体が生成することが確認されている。このような有機物を原始地球上に有機物を届けた媒体としては、彗星などから生じた微小な宇宙塵(惑星間塵)が隕石や彗星よりも重要であったことが示唆されている。惑星間塵は微小であり、その中の有機物は、太陽紫外線や宇宙線に直接曝露されるため、さらに変成を受けると考えられる。しかし、これまで惑星間塵は地球生物圏内で捕集されてはいるが、有機物に関する知見は少ない。本研究では、太陽系星間環境中での有機物の変成と、その有機物のキャラクタリゼーションのため、加速器等を用いた模擬実験を行った。各試料を固相で炭素線照射したものは200kGy照射してもほとんど分解せず、水溶液に照射した場合よりもより高い安定性を示した。溶液の場合、アミノ酸前駆体は遊離アミノ酸よりも安定であった。一方、軟X線照射の場合、イソバリンは40mWhでほぼ分解して0.1%以下になるのに対し、その前駆体は220mWhでも10%以上残存し、高い安定性が示された。
岡村 浩之; 下条 晃司郎; 平山 直紀*; 井村 久則*; 長縄 弘親
no journal, ,
イオン液体(IL)は、イオンのみから構成され室温でも液体状態として存在する塩のことであり、イオンの組合せによって、溶媒特性を自由に調節することが可能である。このようにILは、従来の液体とは大きく異なる特殊な溶媒特性を有することから、これまでにない機能性溶媒として期待されている。そこで本研究では、ILを用いた環境調和型抽出分析法を開発し、有害金属イオンの高効率抽出除去と発光検出を同時に行うシステムを構築することを目的としている。今回は、ジアザクラウンエーテルに協同効果を示す発光性の5-クロロ-8-キノリノール(HClQ)を結合した抽出剤(HClQDA18C6)を用いて、ILへのCd(II)の抽出について検討した。クロロホルムを用いた場合、HClQ-DBzDA18C6混合系に対するHClQDA18C6の優位性は小さかった。また、HClQ-DBzDA18C6共存による協同効果は観測されなかった。これに対し、ILを用いた場合、HClQ-DBzDA18C6混合系ではクロロホルムの場合と比較して抽出性に大きな変化は見られず、HClQ-DBzDA18C6共存による協同効果も観測されなかったが、HClQDA18C6の抽出能はHClQ-DBzDA18C6混合系と比較して劇的に向上し、より低pH側での抽出が可能になった。これは、IL系でのみHClQDA18C6の分子内協同効果が発現したためと考えられる。その結果、IL系ではCd(II)の抽出効率が大幅に向上した。